HACCP法
今年も、はや師走を迎えました。
今年は暖冬で寒さが厳しくないのが個人的にはうれしく思います。
一年を振り返ると様々なこと蘇ります。
政権交代・こども店長(加藤 清史郎)・新型インフルエンザなどなど。
皆様はどんなことが蘇りますでしょうか。
皆様方には本年も大変お世話になり有難うございました。
どうぞ良いお年をお迎え下さい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「HACCP法」
HACCP法というものをご存じでしょうか?
正式名は「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法」といい、昨年度改正を経て平成25年6月まで延長されている法律のことです。
具体的な内容としては、政府としてHACCP手法の導入を推進する為に、食品製造者が行う必要な施設整備に対して長期低利融資による支援策を措置するものです。
少し難しい書き方になっていますが、つまりHACCP手法を導入するのであれば、政府から低利で資金を融資します、ということです。
HACCP手法というのは、食品を製造する工程で、危害が起こる可能性のある場所をリアルタイムで監視、記録し製品の安全を守る方法のことをいいます。
この手法は食の安全を守る優れた衛生管理システムになる、と考えられています。
農林水産省が平成18年に行った調査では、食品業界全体では導入済みが11.5%、導入途中が4.4%、導入を検討中が34%と食品業界の50%近くが導入もしくは導入を検討しています。さらに具体的な調査になると、売上が100億円以上のメーカーの72.9%がHACCP手法を導入、もしくは導入中といった答えを出しています。
一方で売上が50億~100億円では68.3%、10億~50億円では38.3%と徐々にその割合も減少し、1億~3億円になるとわずか6.4%と非常に少ない数字になっています。
導入に関して問題となっているのは、施設の整備や人材の養成、人的コストの増加といった経費が増加してしまうことです。中小企業になるほど、その負担が大きくネックとなっています。
今回、改正されたHACCP法はそういった中小企業を対象としたものに改正されました。
以前は融資対象として大企業も対象となっていましたが、今回の改正で対象は
①資本金3億円以下、②従業員300人以下のいずれかを満たす要件であること
に変更されています。(日本政策金融公庫法による)政府としては、次回の適用期限までに中小企業にもそういったHACCP手法を導入するきっかけを与え、HACCP導入率を現状の約16%から50%まで上昇させることを目標としています。
具体的な申請方法に関しては、政府が指定した各業界の事業者団体(指定認定期間)が制定している「高度基準」に基づき「高度化計画」を作成し、事業者団体へ提出します。
その後事業者団体が認定し、厚生労働大臣、農林水産大臣へ提出。
認定された時点で長期低利融資が出ます。融資に関しては、高度化計画で提出している内容で新設の工場や新たな設備の導入といったものだけでなく、人件費やソフトウェアの開発費といったソフト経費も対象となっています。また、事業者団体によっては、高度化計画が認定されるための現地指導等の支援を行ってくれる所もあります。その他にも税制支援や特別措置もあります。
書類の作成等は大変ではありますが、活かすことが出来れば非常にありがたい法律と言えるのではないかと思います。
消費者庁の発足後の特定保健用食品の是非、トランス脂肪酸の表示義務化の検討といったように食を取り巻く状況は日々変化しています。
民主党は政策集2009の中で、食の安全、安心の方針として、農場から食卓までのリスク管理の一貫性を確保するために、農林水産省消費安全局と厚生労働省食品安全部とを統合し、リスク管理機能を一元化した「食品安全庁」を創設する。すべての食品について、仕入先、仕入日、販売先、販売日を記録・保管するトレーサビリティを義務付け、それを踏まえ、食品の製造工程での安全管理や品質管理を図るための措置として、農業生産工程管理工程(GAP)や危害分析重要管理点(HACCP)への対応も義務化する。
また、食品に関する消費者の合理的な選択を助ける為、加工食品や外食における原料原産地表示、遺伝子組換え食品及びクローン動物由来食品の表示等を義務化する、ということを打ち出しています。
全てがすぐに実施される訳ではありませんし、どこまで実施されるかもわかりません。
しかし、今後こういったことが起こりうることも考慮し、法律が存在する間にHACCP手法を導入していくことも大切かもしれません。
HACCP法に関するURL:http://www.maff.go.jp/j/soushoku/sanki/haccp/index.htm