寄生虫

category : メールマガジン2011 2011.8.1 

今年度に入り、焼き肉店で発生した腸管出血性大腸菌O-111及びO-157による集団食中毒、山形の団子屋での腸管出血性大腸菌O-157による集団食中毒、ドイツ、フランスでのスプラウト由来と思われる腸管出血性大腸菌のO-104による集団食中毒と大きな食中毒事件が、まだ半年しか経過していませんが多発している状況です。

そんな中、既に一部で報道されておりますが、新しい食中毒の原因が発見されています。
食中毒については、その9割近くは原因である細菌、ウイルス等は特定できているものの原因不明とされるものが1割程度は残っている現状で、その件数でいいますと約2年間のの統計でも198件発生している状況です。
そして、その約7割にあたる135件がヒラメ由来、約2割にあたる33件が馬肉由来と思われるものでした。
ヒラメに関しては、その件数が多いことからも関係者の中でも有毒性の物質を持っているのでは(仮称で「ヒラメトキシン」)とも言われていました。

最近の研究においてこのヒラメ、馬肉において新種の寄生虫が発見され、その寄生虫が食中毒を引き起こしていることがわかりました。

ヒラメから発見されたものは【クドア・セプテンプンクタータ(K. septempunctata)】、馬肉から発見されたものは
【ザルコシスティス・フェアリー (Sarcocystis fayeri)】という名の寄生虫です。
症状としては、現在の所は実例や動物実験の結果から、食後数時間で一過性の嘔吐や下痢を示し、軽症で終わる事例がほとんどとなっており、死者が出るほどの重篤性はないようですが、安心はできません。

これらの寄生虫の特徴としては、ヒラメにおいては養殖、馬肉においては外国産のものが寄生されている可能性が高いということです。

現在の研究においては、この寄生虫の対策としては、【クドア・セプテンプンクタータ】は加熱(75℃、5分以上)、冷凍(-20℃、4時間以上)において失活することが確認されています。【ザルコシスティス・フェアリー】においても冷凍(-20℃、48時間以上)することによって失活することは確認されていますが、ヒラメ、馬肉に関してはどちらかというと生のまま食べる傾向が多いので、刺し身やたたきを食べることを考慮すると今の所、あまり現実的ではない対策かもしれません。

この新種の寄生虫の発見によって農林水産省の方でも動きがあり、「緊急対応研究課題」として、「養殖ヒラメに寄生した粘液性胞子虫に起因する食中毒の防止対策に関する研究」が募集され、研究グループが決定し研究が進められようとしています。

個人的には、ヒラメの刺し身はお酒の肴にとってもあいよく食べるので、この寄生虫がどういった段階でどのように寄生し、どの程度の数から食中毒が発生してしまうのか、そういった細かな究明が早くされることを祈ります。

参考資料
「生食用生鮮食品を共通食とする病因物質不明有症事例を巡る経緯
平成23年4月25日 厚生労働省医薬食品局食品安全部 監視安全課」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ahy8-att/2r9852000001aib5.pd

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