「統一球」にみる日本の農業
今期大リーグへとダルビッシュ選手が移籍しました。
大リーグの公式球に慣れきており、徐々に本来の力を発揮しております。
反対に国内野球へと目を移しますと、昨年より導入された「統一球」の影響もあり、スモールベースボールと変質しています。
統一球とは、球団間での公平性を確保し、国際試合で使用されているような低反発にさせたボールのことですが、この統一球のおかげで、打者のホームランは激減し、投手はというと、防御率2点台など当たり前の世界となってしまいました。
この場合のポイントは、大リーグの公式球並みに「わざわざ」質を落としたということです。
統一球が導入される前は、ボールの質がよかったせいもあり、ホームランは量産されていました。
しかし、今となってはこれは大きな過ちだったと思います。
選手に、自身の能力に対する大いなる過信を植え付けたからです。
そういった意味では、選手たちを戒める意味でも、統一球の導入を私たちは喜ぶべきではないでしょうか。
大リーグに挑戦した選手のなかには、ボールに慣れることが出来ず、活躍できないことがおおいからです。
野球の話はここまでにして、経済に目を向けますと、最近話題になっているのがTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)です。
TPPに関する報道を見ますと、盛んに「鎖国だ、開国だ」ということを声高に叫び、いかにもマスコミは、日本市場が開かれていないかのような報道を繰り返していますが、本当にそうなのでしょうか。
JETROの資料を見ますと、確かに日本の農産物の平均関税率は21%とかなり高めです。
反対に、アメリカの平均関税率は4.7%と、日本の約1/5です。
しかし、よくよく調べますとこれにはカラクリがありました。
ほとんど知られておりませんが、実は日本が輸入する農産物の35%が非関税です。
驚いたことに、その割合はアメリカよりも多いのです。
また、日本が関税をかけていたとしても、そのほとんどが低税率となっています。
でありながら、なぜ日本の農産物の平均関税率は21%と高いのでしょう?
薄々想像できるかと思いますが、それは、コメを筆頭とするごく一部の農産物が平均関税率を著しく引き上げているからなのです。
コメのせいで覆い隠されていますが、日本は有数の農産物自由国である、ということを知っておかなければなりません。
野田首相はTPPへの交渉参加を表明しましたが、党内基盤の弱さもあり、すんなりとはいきそうにありません。
また、TPPについてもメリット・デメリットの双方があり、正直いってどちらがいいのかはよく分かりません。
ですが、野球の現状を見れば分かりますが、グローバリゼーションの世の中では、市場が巨大なほうにカネやヒトは流れるということです。
一足先に「統一球」に合わせた日本の野球のほうが、農業よりも、案外未来は明るそうな予感がします。