消費者意識と景品表示法
9月下旬からようやく秋らしさを感じる朝晩となり、10月を迎えることが出来ました。
日中の日差しはまだ強い日が多いですが、衣替えの時期ですね。
さて、食品関連事業者として商品を販売するにあたり、お客様への商品提案やメニューブック、商品POPなどの資料がお客様と自社商品との最初の接点であり、営業活動のスタート地点と考えます。
良い商品を買っていただきたいというのが営業部門サイドの本懐かと思います。
そこで他社類似商品などに負けないような優位性や価格をお客様に提示、伝達することを主とした販促物をご用意されることが多いと思います。
昔からそういった広告や営業手法、プレゼンテーションなどは様々な技法が開発されておりますが、文章構成技法である「起承転結」や相手にわかりやすく伝えたい内容を提示するマジックナンバー3などは有名ですね。
しかし様々な営業手法や伝達手法の中にはお客様や消費者の意識をミスリードしてしまう技法も存在しています。
少し前に話題になり、規制対象となったステルスマーケティングなどが代表例ですね。
そういったお客様や消費者の不利益につながってしまうような広告手法は消費者庁が「おとり広告」として景品表示法に抵触しないようガイドラインやQ&Aを提示しております。
景品表示法違反として問われる「優良誤認」や「有利誤認」はたまた「消費者誤認や誤表示」といったものの正体は「消費者意識」と「営業文面や説明」との乖離だと考えます。
自社商品を売りたい・アピールしたい気持ちが先行してしまうと「お客様や消費者目線の商品価値」を超えた広告表現や過大・過剰な表現になってしまう場合があります。
また、事実の伝達であっても、付帯情報を敢えて伏せた表現などは、その内容が表に出てしまった場合などにおいて「そういう商品とは思っていなかった」と感じるお客様や消費者が多数現れた場合に、景品表示法に抵触してしまうことがあります。
お客様や消費者のイメージが商品価値に沿うように情報修正するために「打消し表示」があります。
付帯情報の通達や有利なサービスを受けるための条件などを併記することでイメージがミスリードしないようにする表示となりますが、あまりに小さい場合、それを見落としてしまう場合があります。
また、離れた場所に書かれていたりすると気づかないケースもあり、そういった表示は「打消し表示」として認められない場合があります。
このようにせっかく良い商品をお客様や消費者に見て買ってもらいたいにもかかわらず、意図しないミスリードにより、景品表示法に抵触してしまうと営業活動の妨げになってしまうだけでなく、企業自体にも風評被害や行政による措置命令などのマイナス影響を受けてしまいます。
とくに昨今SNSなどにより個人からの情報発信能力が昔と比べて格段に早くなっていますので、企業が社会に与えるプラス影響もマイナス影響も、どちらも思っているより素早く広まっていきます。
なお、執筆後の9月26日に消費者庁から、2024年春から始められていた「顧客満足度No.1」など、いわゆる「No.1」広告に対する調査報告がまとめられ、公表されました。
合理的な根拠に基づかない不当な「No.1」表示は、景品表示法違反にあたる可能性があるとして、事業者に対して表示の根拠となる情報を確認することと、消費者にその情報を明らかにすることを求めていくこととするとしていますが、ここで重要なのは広告の文責は調査会社ではなく、広告の主体となる事業者がその責任を負うという点であり、調査会社に委託したとしてもその結果についてしっかりと消費者誤認が無いように内容を広告の主体となる事業者が確認する必要があるというところです。
良い商品を提供していくうえで欠かせない営業活動は常にお客様や消費者目線に立ち、商品情報の提供と商品価値、付帯情報において「思っていた内容と違う」ことなどが無いように複数人で確認することが大切と考えます。
自信をもってお届けする商品ですから、煽りすぎや盛りすぎない営業活動を行って食品業界を邁進していきましょう。