3Dフードプリンタの現在
立春も過ぎましたが、まだまだ寒い日が続いています。
寒さに負けないよう、暖かくしてお過ごしください。
毎年、年初に開催されるCESが1/8に幕を閉じました。
今年の「Tech trend to watch」では、企業のテクノロジーによるイノベーション、Web3.0、モビリティ、ヘルステクノロジー、サステナビリティ、e-Sportsの6つが主要なテクノロジーとして紹介されました。
そのなかでMetaverse of Things/MoT(モノがメタバースにつながる)が紹介され、注目されているようです。
日本企業も多数出展しており、食品業界向けの技術もいくつかありました。
中でも液体の3Dフードプリンタが発表されたようです。
LiDR サントリー
https://www.suntory.co.jp/sic/lidr/
液体の中にインクを射出し、立体的に描画する技術です。
注射針の先のような細い口からインクを射出するので、今のところ描画できるのは単純な図形のようです。
3Dフードプリンタが世に出てから10年ほど経ちましたので、これまでにどのような機種が出ているのか調べてみました。
PancakeBot:パンケーキ
https://pancakebot.com/
Miam Factory:チョコレート
https://www.miamfactory.com/chocolate-3d-printing/?lang=en
Mona Lisa 3D Studio:チョコレート
https://www.barry-callebaut.com/ja-JP/artisans/mona-lisa/3dstudio
Topology:チョコレート
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000134.000009836.html
mycusini 3D Choco Printer:チョコレート
https://mycusini.com/collections/all/products/mycusini-2-0-3d-schokodrucker
https://3dprinter.idarts.co.jp/items/63987386
LuckyBot:チョコレート
https://www.luckybot.us/
BluRhapsody:パスタ
https://blurhapsody.com/
*3Dプリンタで出力されたパスタの販売サイト
FOODINI
https://www.naturalmachines.com/
調べた範囲では、家庭用や飲食店用の機種がほとんとでした。
工場のラインに組み込む3Dフードプリンタ機器に関する記事を見つけられず、状況が分かりませんでした。
しかし、3Dフードプリンタを使った製品の販売に関する記事はありましたので、複数の機種が存在しているようです。
また、チョコレートは3Dフードプリンタと相性が良いようで、多数の商品がみつかりました。
成型の素材には流動性があり、室温で保形性を持つ必要があります。
その点では、少し加温するだけで流動性があり、室温で固化するチョコレートは理想的な素材のようです。
他にそのような物性の素材はありませんので、ゲル化剤の選択が重要です。
20~30℃でゲル化し、40~50℃でゲル再溶解するようなゲル化剤製剤の開発が必要ではないかと思います。
ゲル再溶解温度は衛生面も考慮すると85℃以上が良いかもしれませんが、ゲル化まで時間がかかることになるので、強制的に冷却するなど衛生面で考慮することは多岐にわたります。
また、成型の素材には流動性と保形性の両立が必要なので、チキソトロピー性のある性状が適していると思われます。
(チキソトロピー性:ケチャップのように静止時は高粘度で安定しているが、力を加えると流動性が増す性質)
技術的にはレーザーで焼きながら成型する方法も検討されているようなので、近い将来には低温で射出しながらレーザーで焼成して固めるような方法が主流になるかもしれません。
衛生面から考慮する点が多く技術的なブレイクスルーが待たれます。
工場で使えるような高速に生成できる3Dプリンタの出現に期待したいです。