コロナ禍からの飲食店舗のハイブリッド化
新年あけましておめでとうございます。
コロナ禍冷めやらぬ年始を迎えることとなりました。
皆様くれぐれもご自愛いただきますようお願い申し上げます。
そしていち早くこのコロナ禍が過ぎ去ることを願います。
さて、今回のメールマガジンはコロナ禍約1年を経て感じ取った問題点のソリューション提案となります。
詳細は個別に検討する必要がありますし、全ての飲食業態に対応した内容ではありません。
反論・疑問いずれも存在することを前提として、帰納法的なソリューションを提案させていただきます。
コロナ禍における一般的な飲食店の問題点
①外出自粛・外食自粛の流れにより来客数が減少
②時短要請による営業時間の減少
この2点により、利益が減少となり、
③従業員の雇用
④材料費
などの問題へ派生し、最終的に
⑤店舗の維持
へとつながっているかと思います。
⑤店舗の維持 をするためには、当然ながらコロナ禍以前の利益が必要です。
①来客数が減少 と ②営業時短 の中 従来の営業利益を得るために、まず簡単に脳内だけでもよいので店舗のSWOT分析をしましょう。
SWOT分析は「事案に対する強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を検証し戦略を立案する」分析方法ですが、詳細はWEBサイトや書籍がたくさんありますので、興味がある方は探してみてください。
ここで重要なのは強み(Strength)です。これだけに焦点を置いて店舗のことを考えてみてください。
基本的に飲食店舗は料理を提供して顧客から利益を得ていると思います。
そのため、おそらく強み(Strength)はお薦めの料理になると思います。
次に、
③従業員の雇用 を守ることを考えます。
これまで育ててきた従業員がコロナを理由にやめてしまうと店舗としての損失につながってしまう人もおられるかと思います。
雇用を守るために、従業員には強み(Strength)である料理を作っていただくことで給料を発生させることが出来ます。
逆転の発想で、①来客数が減少 と ②営業時短 は仕込時間を増やすことができると捉えることもできます。
今回のソリューション提案は「飲食店舗の惣菜工場化」です。
お店の料理が惣菜キットになれば、テイクアウトや通信販売など無店舗型の営業にも対応できることになります。
店舗の料理を惣菜キット化するにはお客様のお召し上がり状況を想定し、容器包装やカトラリーなども考慮し、商品化する必要があり試行錯誤からノウハウを構築していく必要があります。
④の材料費もこれまでと同様に食材を購入することが出来れば、調達先の変更などを考慮しなくても運営できることになりますが、場合によっては惣菜キットのための食材調達や備品調達も必要となります。
今回のソリューションの大きな問題点は3つあり、
作った惣菜キットの「販路」と商品の消費・賞味期限である衛生要件、そして営業許可の問題です。
まず、所轄保健所・都道府県による「そうざい製造業」などの営業許可が認可されなければお店の料理を惣菜キット化し、店舗外で販売することができないため、店内環境を整えて、営業許可申請を行う必要があります。
商品によっては複数の営業許可が必要になる可能性がありますので所轄保健所にしっかりと前後関係を含め相談してください。
次に作ったものを販売する先がなければ新たな運営が出来ません。
無店舗型の営業としての販路は主にテイクアウト・出前・通信販売・卸業などになり、①来客数が減少 と ②営業時短 を考慮すると販路の開拓が必要です。
宅配サービスはいくつかの業者が参入しておりますので比較的商品提供しやすい環境になっていると考えられます。
最も安定するのは小売事業者(スーパーマーケット等)への卸業になります。
ネット通販なども知名度が上がると非常に安定した運営が出来るようになります。
ネット通販を含め、容器包装された惣菜キットを陳列販売するためには食品表示も必要となり、専門的な知識が必要になります。
2020年4月以降法令の改正により、食品表示には栄養表示も必要となっておりますので、景品表示法なども含め、関連法令を確認するようにしてください。
衛生要件については、「冷凍」「真空包装」「容器包装後の加熱殺菌」などにより対策を立て、衛生検査に臨む必要があります。
消費・賞味期限日数の設定に対して安全係数なども考慮する必要がありますが、期限の長い商品ほどストックしておくことが出来る時間を長く設定できます。
ストック量を含め、お店では保管場所の確保も必要となります。
以上のソリューション提案の成功例をご紹介いたします。
ラーメン店を経営していたAさんは、コロナ禍で来客数が1/10まで落ち込み、廃業の危機を覚えた。
そこで、ネット通販でお店の商品が販売できないか試行錯誤し、所轄の保健所に相談。店の設備(特に冷凍庫と冷却スペース)を整備し、「そうざい製造業」の営業許可を得て、冷凍のラーメンキットを作ることに成功する。
営業時間中にもこつこつとアルバイトスタッフと一緒に冷凍ラーメンキットを作り、冷凍庫にストックし、大手通販サイトにまたがり出店・出品し、現在は知名度を上げるために、消費者に響く宣伝文句を日々考えているとのことです。
Aさん曰く「ラーメンの味に自信はあったので、当初の値段設定をキャンペーン価格として宣伝広告的に安価に出品してみました。レンジでチンするだけでうちのラーメンと同じ味が楽しめますよ。最近じゃお客さんが残ったスープを勝手にアレンジメニューにしてたりしますね。利益もコロナ前に戻ったとは言いませんが、維持していくくらいには、なんとかなっています。」
とのことでした。
まとめますと「多様化した現代においてコロナ禍はお店の多様性を検討する機会となり、飲食店としての機能だけではなく、惣菜工場的な要件を満たすことで、販路の拡大につなげることが出来る場合もある」というソリューション提案となります。
以上、ご参考になれば幸いです。