一部食品添加物の「無添加」「不使用」表現
先週は新元号が発表され、今週は入学式が始まる等、新年度が始まりだしています。
この季節から、新しい環境になる人も多く、何か新しいことを始める方も多いのではないでしょうか。
個人的には、昨年度から延々と続いている花粉症を新しい方法を使ってでも何とかしたいとは考えているのですが…。
昨年6月に消費者庁より発表された、「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点 」において、打ち消し表示(※個人の感想です 等を記載する表示方法)は、一部の都合の良い体験のみを引用しているような場合は意味をなさない、とする見解が出されたこともあり、そのような表現をしている商品の景品表示法での措置命令が多くなってきています。
景品表示法の観点で考えると、食品においては打ち消し表示に関しては、健康食品関連で使用されていることが多く通常の食品ではあまり見受けられません。
どちらかといえば、製法や素材、使用原料にこだわりをもったことを特徴とするケースが非常に多いかなと思われます。
そんな中でつい先日、大手製パンメーカーの山崎製パンが以下のような見解を出しています。
「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示について
https://www.yamazakipan.co.jp/oshirase/0326.html
上記については、一部のパンに見られる「イーストフード、乳化剤不使用」の表現が不適切である、という見解を山崎製パンとしてだしているものです。
この見解においては「イーストフード、乳化剤不使用」が何故不適切な表現であるかを根拠を持ってかなり詳しく紹介しています。
その中には、「無添加」「不使用」表示に対する見解として日本添加物協会が昨年1月に公表した「無添加、不使用表示に対する見解」という部分の中から引用している部分もあり、これは【当該食品添加物と同一の成分あるいは同一機能の成分が含まれている場合の『無添加』『不使用』等の表示 (当該食品添加物と同一機能の成分が製造工程で使用されている場合を含む)】といったものです。
この表現を見て感づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、これはこの「イーストフード、乳化剤不使用」だけにとどまる訳ではありません。
消費者への意識調査から「無添加」「不使用」といった言葉は、食品として安全、健康面で優位のあるような印象を与える為に市場ではそういった強調表現をした商品は多数みかけます。
(例:化学調味料無添加、保存料不使用、合成着色料不使用、 など)
ご存じかと思いますが、市場に流通している食品はこれらを使用しない代わりに、ほとんどがその代替となる素材を使用しています。(食品、食品添加物に限らず)
なお、それらの添加物に関連する協会やメーカーにおいても、今回と同じような見解を出している所が多いです。
「イーストフード、乳化剤不使用」の見解が業界の最大手から出たことで、実際にその表現を謳っている他のメーカーがどのように対応していくのか、またこの見解を広く消費者の方へ周知するような流れとなったので、それを受けて日本パン工業会や消費者庁が何等かの動きを出すのか、といった所も気になります。
この表現見直しがもし起きると、上述している他の「無添加」「不使用」に関連する表現まで波及する可能性も十分に含んでいると思うので、今後の動向は注視して行きたいと思います。