地理的表示保護制度(GI)について
category : メールマガジン2015 2015.11.30
先月は日中とそれ以外の時間の温度差が激しく、体調を崩す人が多く出て、社内にも風邪が充満していました。 ようやく落ち着いたと思ったら、是か非か日中も寒く、温度差が無くなってきましたが、 今度は空気の乾燥からインフルエンザの兆しがヒタヒタと。。。 しばらく通勤時のマスクは外すことができなさそうです。 地理的表示保護制度法(GI)が本年度の6月に制定されました。 この重要性が先日大筋合意となったTPP協定によって、かなり重要な位置付けとなってきそうです。 そもそも、地理的表示保護制度法(GI法)とはどんな法律でしょうか。 この法律は、 「品質、社会的評価その他の確立した特性が産地と結び付いている産品について、その名称を知的財産として保護するもの。」 というものです。 つまり、地域独特の伝統的な製法やその土地の気候や風土から、 その地域独自の産品(生鮮品、加工品)となったものを商品の名称として使用すること(地理的表示という) に対して国が「お墨付き」をつけ、特定のマーク(GIマーク)をつけることを許可する。 そして、不正にその地理的表示を使用したりすることを国が取り締まる、といったものです。 (注意:地理的表示に対してGIマークを使用するには申請が必要ですが、申請は個人ではなく 団体が実施し、その団体に加入しないと使用できない仕組みになっています。) この地理的表示保護制度は、以前はぶどう酒や蒸留酒にのみで既に存在していました。 それが、今年度の6月に新たに施行されたものでほとんどの飲食品に適用されることになっています。 ちなみに、この法律は商標制度(地域団体商標制度も含む)と似ている部分があるかと思うかもしれませんが、 大きく異なる点があります。 それは、商標制度が自主的な取り組みが中心となる(問題に対して自力での対応が必要)のに対して、 地理的表示保護制度は国が取り締まる形となる、という点です。 これによって、法律の専門家のような人がいるような会社でないと対応できなかった商品名の乱用等も小さな 会社でも対応できるようになってくるのです。 では、この地理的表示保護制度はTPP協定はどのように関係しているのでしょうか? 今回のTPP協定においては、知的財産の相互認証が加盟国間における対象となっており、 この知的財産に地理的表示が含まれています。 現状、地理的表示保護制度については国内に限り法的効力をもつものです。 その為、海外の国の団体等が日本における地理的表示を主張するのであれば、 日本の地理的表示保護制度に則って申請、認可される必要がありました。 ですが、TPP協定がこのままの形で進むと加盟国間での国を越えた保護が存在する形となります。 つまり、地理的表示保護制度に申請、認可された日本の「○△×」といった商品が、 TPP協定に加盟している海外の国で産地、品質面等の要求を満たさずに勝手に使用していると それに対して罰することができる、ということです。 これは認可を受けた商品にとっては輸出におけるかなり強い武器の1つになるでしょう。
海外での粗悪品の横行を防ぐ手立てにもなるので、ブランドをもっている産品を取り扱っているメーカーにとっては 申請することは大きなビジネスチャンスにもなるかもしれません。(商標制度も同様の対象となるようです) ただし、逆に考えると海外で既に地理的表示を申請している商品名を日本で安易に販売が出来なくなる、 というデメリットも存在します。ですので、安易な商品名をつけることが大きな問題に繋がる可能性もあります。 この辺りは地理的表示の保護に熱心なEUとの別の協定で妥結されるとちょっと大変なことになりそうです。。。 参考 農林水産省 地理的表示保護制度(GI) http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/