Home » メールマガジン2014 » 日本の農業の未来

日本の農業の未来

category : メールマガジン2014 2014.11.10 

安倍首相が行っている経済政策、通称「アベノミクス」の一つに、
農業分野の改革があります。
日本の農業は難題が山積しておりますが、今回の改革では全国農業
協同組合中央会(JA全中)を頂点とする、
現行の農協制度を見直すことが焦点になっていることに注目したい
です。
このことだけでも、農業改革に対する安倍首相の並々ならぬ意気込
みが感じ取れます。
改革の中身をさらに調べますと、JA全中の地域農協に対する指導権
を廃し、一般社団法人化まで検討していました。
これは、一律的な経営指導に批判の多いJA全中の地域農協に対する
強制力を弱めることで、
地域農協の経営の自由度を高めることを想定してのことでしょう。
このような改革は、農業も他の製品同様、市場の素早い動きに対応
できるようにすることが目的だと思われますが、それらはあくまで
小手先の改革にすぎません。
改革の最終目標は、やはり農家、特にコメ農家の大規模化で、安倍
首相もそのことを想定しているようです。

酪農家戸数はこの50年間で40万戸が2万戸へと激減しました。
しかし、生乳生産量は200万トンから800万トン超へと拡大するに至
っております。
これは酪農農家の大規模化により、生乳生産が効率化されたことを
意味します。
コメ農家もこれに倣わなければなりません。
コメ農家を大規模化させるとなると、現在の減反政策を見直すこと
が必要不可欠です。
減反政策をやめて米価を下げ、零細兼業農家から農地を手放させて
大規模専業コメ農家へと農地を収斂させる、
という一連の流れに持っていかなければなりません。
そして、米価の下落によって所得が減少した農家へは、戸別補償に
て対応していくことになります。
米国やEUも、かつては減反による価格維持政策をとっていましたが、
現在は農家へ直接支払いする方向へと農業保護政策を変え、農産物
の競争力を高めようとしています。
日本もこういった欧米の政策に倣うべきでしょう。
そうでないと、いつまで経っても日本の農業は弱いままです。

一部の意欲的な専業農家は、自分達の作る農産物に自信を持ち、独
自のルートで自分たちの商品を販売するようになっています。
そういった農家は、たとえTPPで市場が開放されたとしても、闘っ
ていけるだけの力を備えていることでしょう。
すでに日本の農産物は世界市場で着々とそのブランド力を築きつつ
ありますので、
国産農産物は安い海外農産物に価格で負ける、といった考え方を捨
て去らなければならない時がきていると思います。

これらはあくまで個人的な見解ですが、皆様が「日本の農業の未来」
を考え、それぞれの見解を持って頂き、議論し、そして日本の農業
が発展していく機会の一つになれれば幸いです。

Copyright(c) 2014 株式会社デリコ All Rights Reserved.