ブランドコングロマリット
あけましておめでとうございます。
旧年中の御厚情に御礼申し上げます。
年頭に色々と願い、大きな目標を立てておられる方も少なくないと思います。
私達、デリコも皆様のお役に立ち共に生き、常にチェンジ・進化しがんばって参ります。
どうぞ本年もよろしくお願い申し上げます。
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昨年末から日本市場をドル箱にしてきた海外の高級ブランドが、相次いで値下げに踏み切っています。表向きは円高が進み、商品コストが下がったということですが、やはり今回の金融危機の影響で、高級品の消費が大きく落ち込んだためのテコ入れと見るのが妥当なところでしょう。
これまで通り高級路線を維持するのか、それともブランド価値の低下を覚悟で値下げするのか、ここ数年高成長を続けてきたブランド市場は、大きな曲がり角に立たされています。
現在、高級ブランドメーカーは、エルメスやシャネルといった一部の独立系を除くと、ディオールやグッチのように
大手ブランドグループの傘下になっているのが一般的です。
特に、87年にルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーが合併して誕生したLVMHは、積極的にブランドの買収を行い、巨大ブランド帝国を築き上げるに至りました。
このLVMH(ディオール、ジバンシー、セリーヌ、フェンディ等)に、
リシュモン(カルティエ、ダンヒル、モンブラン等)、
PPR(グッチ、サン・ローラン、プーマ等)を
加えた3つが、3大ブランドコングロマリットと言われ、多くのブランドを囲い込むことによるシナジー効果を狙って、
現在も拡大路線を続けています。
LVMHの現会長ベルナール・アルノー氏は、元々は不動産業を営んでいました。
しかし、米国でビジネスをしていた頃、「フランスと言えばディオール」とイメージする米国人が多いことに気付かされ、いかにもビジネスマン的な嗅覚で、このブランドイメージを活かせないものかと考え、ファッション業界に参入することになります。
その後の動きは素早く、早速ディオールを買収、その後合併後の主導権争いの間隙を縫う形でLVMHを入手し、
あっという間にブランド帝国を手中に収めました。
そして旧態依然としていたデザインを行っていた、各ブランドのデザイナーを若手に切り替え、活性化させることに成功します。
このようにアルノー氏は、いかにも冷徹なビジネスマン的要素を持っていますが、かつてはクリスチャン・ラクロワの才能に惚れ込み、ラクロワを一流ブランドに育てようとしたこともありました。
結局は投資に見合った成果がでないことで、ブランドを売却することになるのですが、この時アルノー氏は、「ブランドを一から築き上げていくのは難しく、才能だけではファッションブランドは成功しないことが分かりました。
ブランドには伝統が必要なのです。」と語りました。
消費者から信頼のおけるブランドを一から作り上げるのは難しく、それには多大な労力を必要とします。
ややもすると百年以上もの月日が必要な場合もあります。
今年に入ってから、食に関する事件が多数発生し、著しく企業のブランド価値を損ねる事件が多発しました。
食の場合は口に入れますので、消費者はそういったことに敏感に反応します。
築き上げたものを失うのは一瞬で、最悪な場合は会社の消滅さえ起こりかねません。
味や見た目と同様に、安心安全にも時間やコストを割くことが、結果的に企業ブランドを高め、最終的には企業の伝統をも作り上げていくことになると思います。
コストに厳しい世の中になっていますが、安心安全といえばあの企業といったイメージを消費者に持たせることが重要ではないでしょうか。